前回、MP3エンコード(午後のこ〜だ ABR)のビットレート毎の違いを比較をしましたが、今回は、ちょっと趣向を変えて音量調整(音量メニューのボリューム)処理でどの程度信号劣化をするか測定したいと思います。同様にSoundEngineのWaveErrorを使って、音量調整前のWAVEファイルと音量調整後のWAVEファイル間の信号劣化度を測定します。
信号劣化度の測定
サンプル音としては、WaveGeneratorで生成したピンクノイズ(自然界によくありふれている音)を使用します。フォーマットは、100秒、44.1kHz/16bit/ステレオです。波形はこのような感じです。
また、解析タブの解析結果としてはこのような感じです。
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最大音量: -0.00 dB ( 1: -0.00 dB, 2: -0.00 dB ) 平均音量: -13.13 dB ( 1: -13.14 dB, 2: -13.13 dB ) オートマキシマイズ平均音量: -16.99 dB DCオフセット: -0.002011 ( 1: -0.000533, 2: -0.003488 ) サラウンド(位相): 1.05 dB 正負平均音量差: -0.189996 ( 1: -0.057126, 2: -0.322747 ) |
最大音量が0dBのため音量を上げると歪んでしまう(信号劣化してしまう)波形であることがわかります。以下音量調整毎の信号劣化度(Average Fixed Mode)の結果を紹介します。
-3dB
音量を少し下げたもの。
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MSE: -98.10 dB Power MSE: -105.21 dB Spectrum MSE: -105.21 dB |
信号劣化度(MSE:二乗誤差平均)は、-98.10dB。この値が低いほど原音に近いことを示します。波形はこのような感じです。
今回の場合、若干劣化が発生するがあまり気にならない程度であることがわかります。
-6dB
音量を半分に下げたもの(通常1bitは-6dBであるため、1bit削ったに等しい)。
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MSE: -95.10 dB Power MSE: -102.21 dB Spectrum MSE: -102.23 dB |
信号劣化度は、-95.10dB。-3dBの時の劣化度に3dB足した値になっています。波形はこのような感じです。
例えば、-12dB下げた時信号劣化度は-89.10dBになり、やはり-6dBの時の信号劣化度-95.10dBに6dB足したものになります。
+3dB
若干音量を上げてみたもの。
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MSE: -53.48 dB Power MSE: -49.70 dB Spectrum MSE: -46.80 dB |
信号劣化度は、-53.48dB。波形はこのような感じです。
波形をみてもわかるようにクリッピングが発生していることがわかります(元の波形の最大値が0dBであることから音量を上げると必ずクリッピングが起こります)。
+6dB
音量を倍に上げたもの。
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MSE: -37.49 dB Power MSE: -36.15 dB Spectrum MSE: -28.09 dB |
信号劣化度は、-37.49dB。波形はこのような感じです。
クリッピングは+3dBの時よりもさらに発生しています。通常クリッピングが起こらない範囲で音量を上げる場合、信号劣化はほとんど発生しません。例えば、-6dBしたものとそれをさらに6dB上げたものとの信号劣化度はこのようになります。
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MSE: -107.09 dB Power MSE: -120.21 dB Spectrum MSE: -120.20 dB |
ほとんど信号劣化が起きていないことがわかります。
次は、Ogg Vorbisの信号劣化度を比較してみたいと思います。
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