前回は録音レベルについて簡単に説明しました。今回は実際にSoundEngineで録音を行いながら録音レベルについて解説していきたいと思います。
録音手順・条件
SoundEngineで正弦波(440Hz)を録音してみました。Macbook ProとDos/V機をライン入力で接続し、入力源として下のファイルを再生しながら録音しました。
録音時には録音コントロールのスライダを調整して録音レベルを変えてを録音しました。今回は実例として、極端にレベルを変えて録音結果の比較を行いました。
録音レベルが小さい場合
まず録音レベルを小さくして録音を行いました。レベルメータを見ながら-24dBになるようにボリュームを調整し録音しました(SoundEngineでの録音音量の調整は録音タブを参照して下さい)。波形は下図のようになりました。
振幅は小さいですが、正弦波が録音されているのが分かります。この状態でも音が聞こえない訳ではないのですが、聞きやすくするため音をノーマライズしたのが下のwavファイルです。
このファイルを聞いてみると「サー」というノイズが乗っているのが分かります。
またこの音のスペクトルは下の図のようになりました。
まず入力した正弦波の周波数である440Hz付近にピークが出ています。また、これは後ででてくる最適な場合と比べると分かりますが、全体的にノイズ(白色ノイズ)が乗っているのが分かります。特に1.2kHz付近にも小さなピークの音がノイズとして乗っているのが確認できます。このように録音レベルを低くするとSN比が悪くなることが分かります。
録音レベルが大きい場合
次に録音レベルを大きくして録音を行いました。レベルメータが振り切るところまでボリュームを上げて録音しました。波形は下図のようになりました。
この図を見るとわかるように、正弦波の上下がカットされたような波形になっています。これは一般にクリッピングと呼ばれます。録音したファイルは下のような音になりました。
この波形を再生すると、複数の高さの音が同時になっているような音が再生されました。先ほどと同じようにこの波形のスペクトルを見てみるとした図のようになりました。
440Hzだけでなく、1kHz以上に複数のピークが出ているのが分かります。このようにレベルオーバーが起きると音が歪んでしまうのがわかります。この例では出てきませんが、瞬間的にレベルオーバーが起きた場合は「プチッ」というノイズ(クリップノイズ)になります。
適切なレベルでの録音
上の2つの結果を踏まえて適切なレベルに調整して録音を行いました。SoundEngineのレベルメータを見ながら黄色の領域(-3dB〜-6dB)にピークが収まるよう調整しました。
ちなみにSoundEngineでは、レベルメータを右クリックすることによりレベル表示の範囲を-24dBから-96dBまで変更することができます。
波形は下図のようになりました。
きれいな正弦波が記録されているのが分かります。また、録音した波形のノーマライズしたものが下のファイルです。
この波形を再生するとノイズがほとんど無く、濁りの無い音(音叉を叩いたときのような音)が再生されました。この波形の周波数スペクトルは下図のようになりました。
録音レベルを小さくしたり大きくした場合に比べると、正弦波のピークのみが確認されました。また、白色ノイズが少なく、もとの正弦波と同じような波形が録音できていることが分かります。
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