今回はイコライザーの実例として、色々な音にイコライザーをかけてみたいと思います。たくさんの楽器が混ざっている(アンサンブルな)音にイコライザーをかけて調整を行うのは難しく、知識と経験を必要とします。今回は練習として1つの楽器だけが含まれている音を使って試していきたいと思います。
イコライザーにはSoundEngineのグラフィックイコライザーを使用します。グラフィックイコライザーの使い方については、イコライザー(2) SoundEngineのグラフィックイコライザーを参照してください。
バスドラム
まずはバスドラにイコライザーをかけてみましょう。バスドラとして使用したのは下のような音です。
スペクトラムアナライザーで見てみるとスペクトルが主に50Hz-100Hz付近の成分で構成されているのが分かります。
なおスペクトラムアナライザーの使い方およびスペクトルについては音の周波数スペクトルをご参照ください。
重量感を強調する
まず低音を響かせて重量感のある音作りにチャレンジしてみました。スペクトルのピーク付近の音量を上げてみました。各パラメーターは以下の通りです。
このパラメーターでイコライザーをかけるSoundEngineスクリプトは以下の通りです。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 |
[Graphic EQ] Param0=3 Param1=1 Param2=0 Param3=0 Param4=0 Param5=0 Param6=0 Param7=0 Param8=0 Param9=-2 Option=ShowOnce |
この処理を行うと下のような音になりました。
オリジナルと比べると、低音部の音がよく聴こえるようになったと思います。
設定をライブラリーに保存する
気に入った設定はライブラリーに保存すれば、いつでも呼び出すことができるようになります。
設定に名前を付け(上の画像では”bd_heavy”)、ライブラリー保存ボタンを押せば現在の設定が保存されます。
リズムを強調する
次に同じバスドラの音でリズム(ビート)がはっきり分かるような音作りをしてみました。一般、このような場合には高い音を強調すると良いと言われています。そこで、高音部の音量を上げ、なおかつ低音部の音量を下げるセッティングにしてみました。
このパラメーターでイコライザーをかけるSoundEngineスクリプトは以下の通りです。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 |
[Graphic EQ] Param0=-3 Param1=0 Param2=0 Param3=0 Param4=0.2 Param5=0.5 Param6=0.5 Param7=0.5 Param8=0.5 Param9=1.9 Option=ShowOnce |
この処理を行うと下のような音になりました。
音の出始めの音量が大きくなり、低音の音量も小さくなったためビートがよりはっきり分かるようになったと思います。
ハット
続いてハットです。ハットの音は人間の耳には音階が分からないくらいの高域成分が主です。オリジナルは下のような音です。
ブーストする
ハット単体の音をイコライザーを使ってブーストするのにあまり意味は無いと思われます。しかし、一般にアンサンブル中でハットの音量を大きして、いわゆる「シャリシャリ」した音を作るのにイコライザーはよく使われます。
4kHz付近をブースとしてハットの音量を大きくしてみました。
このパラメーターでイコライザーをかけるSoundEngineスクリプトは以下の通りです。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 |
[Graphic EQ] Param0=0 Param1=0 Param2=0 Param3=0 Param4=0 Param5=0 Param6=0.5 Param7=2 Param8=0.5 Param9=0 Option=ShowOnce |
「ボリューム」つまみは0dBのままですが、実際に聴いてみると音量が大きくなっています。
ローファイ系のハットを作ってみる
せっかくなので、次にDrum’n BassやHipHopなどに使われそうなローファイ系のハット作りに挑戦してみました。中域の500Hzから1kHz付近をブーストしてみます。
このパラメーターでイコライザーをかけるSoundEngineスクリプトは以下の通りです。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 |
[Graphic EQ] Param0=0 Param1=0 Param2=6 Param3=12 Param4=6 Param5=3 Param6=0 Param7=-3 Param8=0 Param9=0 Option=ShowOnce |
かすれたような、何かこすっているような感じの音に変化しました。