前回は、周波数特性直線の調整について紹介しました。今回は、低音域のカットについて紹介します。
低域カット
楽曲やラジオなど音声コンテンツのマスタリング(仕上げ)時に余計な低域をカットすることで、再生時に発生する歪みを抑えたり音声がこもってしまうのをある程度防ぐことができます。
では、どのぐらいを余計な低域としてカットをするのがよいでしょうか。人間が聞き取ることができる周波数帯域(可聴域)は20Hz〜20kHzぐらいといわれており、20Hz以下はあまり重要でないことがわかります。また、スピーカーなどによっては50/60Hzより下の帯域が出なかったり、ノートパソコンなどの貧弱なスピーカーに至っては200Hzより下がほとんど出ない場合もあります。
このような感じで、楽曲のような低域も楽しむコンテンツの場合には20〜50Hz以下をカットし、ラジオのような音声を楽しむコンテンツの場合には20〜200以下をカットするのがよいかもしれません。なお、低域カットにより直流成分の除去も同時に行えるため、DCオフセット効果もあります。
WaveGeneratorで生成したピンクノイズ
20Hz未満をカットしたもの(DCオフセットを使ってもこれ以上下がらない値)
調整
マスタリングプロセッサーを開き「低域カット」のノブを操作することで調整できます。再生して音を聞きながら、またヴィジュアル画面のスペクトラムアナライザーを確認しながら行なうとよいでしょう。
値を決定したら、「実行」ボタンを押します。
以下にサンプルをいくつか置いておきますので、参考にしてみて下さい。
サンプル
以下のサンプルにそれぞれ低域カットを行なっていきます。
20Hz以下をカット
人間の可聴域以下をカット
40Hz以下をカット
通常ウーファーなどで鳴らす部分をカット
80Hz以下をカット
バスドラムの一部帯域をカット
160Hz以下をカット
ベースの一部帯域をカット
次は、空気感と丸みについて見て行きたいと思います。
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