前回、OGG Vorbisのビットレート毎の違いを比較しましたが、今回は、MP3エンコード(iTunes CBR)のビットレート毎の違いを比較してみたいと思います。前回同様SoundEngineのWaveErrorを使って、エンコード前のWAVEファイルとエンコード・デコード後のWAVEファイル間の信号劣化度を測定します。
信号劣化度の測定
サンプル音としては、WaveGeneratorで生成したピンクノイズ(自然界によくありふれている音)を使用します。フォーマットは、100秒、44.1kHz/16bit/ステレオです。周波数特性はこのような感じ。周波数帯域全体に渡り成分を含み、高域に行くに従い減衰しているのがわかります。
エンコード・デコードはiTunesを使ってみました。iTunesの設定は以下の通りです(スマートエンコードと10Hz未満カットをチェックなし)。
以下ビットレート毎の信号劣化度(Average Fixed Mode)の結果を紹介します。
CBR 64kbps ジョイントステレオ
mp3ではかなりの低ビットレート。
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MSE: -19.81 dB Power MSE: -27.36 dB Spectrum MSE: -21.55 dB |
信号劣化度(MSE:二乗誤差平均)は、-19.81dB。この値が低いほど原音に近いことを示します。周波数特性はこのような感じ。
CBR 96kbps ジョイントステレオ
若干低ビットレート。
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MSE: -21.55 dB Power MSE: -28.93 dB Spectrum MSE: -22.75 dB |
信号劣化度は、-21.55dB。64kbpsより改善されています。周波数特性はこのような感じ。
CBR 128kbps ジョイントステレオ
よく使用されるビットレート。CD品質。
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MSE: -23.19 dB Power MSE: -30.50 dB Spectrum MSE: -23.74 dB |
信号劣化度は、-23.19dB。96kbpsよりさらに改善されているようです。周波数特性はこのような感じ。
CBR 160kbps ジョイントステレオ
おそらくこちらもよく使用されるビットレート。CD品質。
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MSE: -25.29 dB Power MSE: -32.47 dB Spectrum MSE: -27.01 dB |
信号劣化度は、-25.29dB。128kbpsよりさらに改善されているようです。周波数特性はこのような感じ。
やはり、エンコード時のビットレートが大きいほど劣化度も小さくなっていることがわかります。また、パワーやスペクトラムでも劣化度が低くなり、平均音量の違いもエンコード時のビットレートが大きくなるほど改善されていることがわかります。
CBR 192kbps ステレオ
少し高めのビットレート。
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MSE: -27.89 dB Power MSE: -35.06 dB Spectrum MSE: -29.20 dB |
信号劣化度は、-27.89dB。160kbpsよりさらに改善されているようです。周波数特性はこのような感じ。
CBR 320kbps ステレオ
mp3のCBRの最大ビットレート
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MSE: -34.39 dB Power MSE: -41.53 dB Spectrum MSE: -33.27 dB |
信号劣化度は、-34.39dB。192kbpsよりさらに改善されているようです。周波数特性はこのような感じ。
さすがにビットレートが高い程よい結果になっているのがわかります。また、前に行なったMP3(午後のこ〜だ CBR)と比較してみると同ビットレートの時には午後の方が若干よい(192kbpsを除く)という結果になっています。午後の方が信号再現性は高いかもしれません(逆にiTunesの方が心理音響的な再現性にパラメータを振っているのかもしれません、iTunesの周波数特性をみた感じでは低ビットレートでも高域が出てたりしますので)
次は、MP3(iTunes VBR)について見ていきます。
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